交通事故に遭って性格が変わり高次脳機能障害が認められた事例

依頼者 20代女性 川崎市在住(被害者)

事故発生時の状況

 信号のある交差点において、被害者(当時21歳)はバイク、加害者は軽トラックを運転しており、軽トラックがバイクに気がつかずに右折進行し、軽トラックとバイクが衝突した交通事故であった。

 本件事故による外傷によって被害者は1年半の入通院治療を余儀なくされたが、右足の可動域が制限される後遺障害が残存し、後遺障害等級12級が認定された。

相談・依頼までの流れ

 しかし、被害者の母親からみて本件事故後、事故に遭った本人が「非常に忘れっぽくなった」「すぐに怒るようになった」「とても疲れやすくなった」などの変化が気になるようになった。

 母親は「これも交通事故の影響なのではないか」「事故の後から性格が変わったことも、後遺障害の一つかもしれない」と考え、12級で示談する前に当事務所に相談に来られた。

高次脳機能障害で性格が変わることがある

 高次脳機能障害では、過去の記憶が失われたり、記憶力が衰えたり、身体の機能が効かなくなったりすることがよく知られています。今回ご依頼のあった方のように性格が変わることがあります。

 交通事故により頭部にダメージがあり、高次脳機能障害で性格が変わることは、障害として認められ、高い等級が認められる要因となります。

当事務所の活動

 本件事故に関する後遺障害等級認定申請は、相手方損保によって行われていた(いわゆる事前認廷)。

 そこで、弁護士が後遺障害等級に関する一式資料を確認したところ、後遺障害等級認定申請に際して、被害者の頭部外傷に関する資料が漏れていることが判明した。

 当事務所から被害者が入通院していた各医療機関に照会を行い、必要な診断書を取り付け、被害者の生活状況をまとめた報告書を添付して自賠責保険会社に異議申立を行った。

 その結果、右足の可動域制限12級の他に、高次脳機能障害として9級が認定され、後遺障害等級が併合8級に変更された。

解決のポイント(担当弁護士の所感)

 被害者は、後遺障害等級12級を前提に示談をしてしまう前に、当弁護士事務所にご相談いただいて本当に良かったと思います。この事件のように、交通事故によって本人の性格が変わってしまうことも、高次脳機能障害として認められます。

 後遺障害等級の認定申請は、相手方損保がサービスとして行ってくれることが多いです。これを事前認定といいます。事前認定は、相手方損保は被害者から詳しく後遺障害の状態を聞いて等級認定申請の準備をするわけではなく、形式的に最低限の書類を揃えただけで後遺障害等級認定申請を行うことが多いです。

 その結果、本来であれば認定されるべき等級が認定されない、ということがあるのです。

 後遺障害等級認定は、原則として書面審査とされており、審査をする人に直接後遺障害の状態を説明する機会はありません(なお、醜状障害については例外的に面接があります。)。

 そこで、適切な等級認定を達成するためには、弁護士が被害者の方から詳しく後遺障害に関する状態像を聴き取り、診断書の撮り直しなど必要な準備をする必要があります。

 交通事故に遭った被害者の性格が、以前と変わってしまった場合は、上大岡法律事務所にご相談ください。

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