軽症でも弁護士に依頼すべきか?
交通事故に遭って怪我をした場合に、それが軽症であったとしても、加害者側の損害保険会社(加害者側損保)との交渉を弁護士に依頼すべきでしょうか?
弁護士がついていないと、適正な賠償金額を得られない
例えばAさんとBさんがそれぞれ交通事故に遭って、Aさんには弁護士が付いていて、Bさんには弁護士が付いていなかったとしましょう。AさんとBさんの怪我の程度、通院期間、後遺障害の程度、年齢、年収、過失割合など、全ての条件が全く同一であった場合、加害者側損保からAさんとBさんに対して支払われる賠償金額は同一金額になるでしょうか?
結論から申し上げると、賠償金額は同一にはならないことが圧倒的に多いです。
加害者側損保は、裁判所が認定するであろう賠償金額、つまり適正な賠償金額を示談交渉の段階で支払ってくれるかというと、そうではないのです。
示談交渉の段階で加害者側損保が提示してくる賠償金額は、いわゆる裁判基準の70~80%の金額であることがほとんどです。
交通事故の被害者の方が、裁判基準に関する文献を調べて自分で賠償金額を計算すれば、加害者側損保が提示してきた金額が裁判基準を下回っていることに気付くことができるかもしれません。
しかし、気付くことができて、加害者側損保に対して値上げを要求したとしても、加害者側損保がすんなり裁判基準で支払ってくれるかというとそうではありません。多くの加害者側損保は、弁護士が付いている事案とそうでない事案で、基準を使い分けていることが多いからです。
適正な賠償額を支払ってもらうためには、軽症であっても、弁護士にご依頼することをお勧めします。
弁護士がついていないと、後遺障害として認定してもらえない場合も
交通事故で負った怪我が軽症で済み、痛みもしびれも残らず完全に治ればいいのですが、治療が終わった後でも痛みやしびれが残ってしまう場合もあります。
痛みが残っていれば必ず後遺障害として認定されるかというと、そうとも限りません。
後遺障害の最も軽い等級である14級における神経症状の場合、骨の変形などの他覚所見(レントゲン画像など、見た目で分かる違い)がなくても、継続的な痛みやしびれが残っていて、それが回復困難と診断されれば、14級と認定されます。
しかし、自覚症状(本人が「痛い」と訴えていること)さえあれば、誰でも14級と認定されるかというと、そうではありません。
例えば、本当は痛みがないのに「痛い」「痛い」と訴える、ちょっとずるい被害者がいるからです。
なので、等級の認定に際しては、病院のカルテを調べ、被害者の通院頻度や、診察の際に医師に対してどのような説明をしていたかなどを確認します。
痛みが残っているのに後遺障害認定が受けられない人の行動
痛みが残っているのに14級と認定されなかった被害者の方は、次のような行動をとってしまっていることがあります。
- ・大した痛みでもなかったので事故後すぐに病院に行かなかったら、1週間後に痛みがひどくなって慌てて病院に行った。
- ・病院に通っていても、大して痛みが軽くならないから、行かなくなってしまった。
- ・医者から「何日おきに来なさい」と言われていたのに、仕事が忙しくて、たまにしか行かなかった。
後遺障害等級の14級は認定されにくい
後遺障害に「他覚所見」があれば、もう1級上の12級と認定されますが、ある意味、他覚所見という分かりやすい証拠があるから、認定されやすいともいえます。
しかし、14級の場合は、「他覚所見」がないからこそ、いろいろな事情から総合的に認定せざるを得ず、14級の方が12級よりも軽いのに、かえって認定を受けづらいともいえます。
本当は痛みやしびれが残っているのに、ご自分のうっかりした行動のために、適正な賠償額を受けられないのはもったいないです。
早期に弁護士にご相談に来ていただければ、注意点をお伝えすることができるので、交通事故に遭って軽症の場合でも、とにかく早期にご相談に来ていただきたいです。
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