物損事故の弁護士相談
「物損」とは、交通事故による物的な損害、車両等の物が破損することによって生じた損害のことです。例えば、車両、携行品、着衣、荷物、家の壁、ペットなどの損害をいいます。
物損は自賠責保険の対象ではありません。
しかし、義肢、義足、眼鏡、着衣等日常生活において必要不可欠のものとして身体に密着させているものについては、人損として自賠責の適用があります。
物損として賠償請求できる費目とは?
自動車事故に遭遇したときに物損事故で賠償請求ができるものとしては、車両の損傷から生じる損害とそれ以外のものに分けることができます。
1 車両の損傷から生じる損害
修理費
車両の修理が可能な場合は、修理代金相当額が損害賠償の対象になります。全損の場合は修理費は請求できません。全損とは、修理が物理的に不可能であるとき、修理は可能であるが、修理見積額が車両の時価を超えるとき(経済的全損)です。
買替差額費
車両が全損の場合、事故車を買い替える必要が生じます。この場合、事故当時の車両の時価相当額と売却代金の差額が損害として請求できます。
したがって、事故当時の車両の時価が重要です。時価は、その車と同じ状態の車両を中古車市場で再取得するとすればいくらなのかということです。「自動車価格月報」(通称レッドブック)を参考とすることも多いですが、車種、年式、走行距離、装備等が同じ車両の中古車価格をネットで調べるなどして、損害額を算定します。
評価損
修理はしたが、外観や機能に元の状態には完全に戻せない欠陥が残った、または事故歴により商品価値が下落したという場合、それを損害として、賠償請求できる場合があります。
以下の(1)(2)の場合には評価損は認められますが、(3)の場合に認められるかは判断が分かれています。
- (1)一応修理は終了したが、事故前に持っていた機能が完全に回復できないために交換価値が低下した
- (2)機能は回復したが、外板や塗装面に補修跡が残るために交換価値が低下した
- (3)機能も外観も回復したが、事故車というだけで交換価値が低下した
代車使用料
車両を修理するときは、修理期間中買い替えをするときは、買替期間中、代車を使用することがありますが、その使用料を損害として請求できます。
代車使用が不可欠であれば、営業に車を使用していた場合でも、日常生活に使用していた場合にも認められますが、レンタカーを使用したなど現実に代車使用料を支出したことが必要です。
休車損
営業用車両(貨物自動車、タクシー、観光バス等)であった場合、買替期間中もしくは修理期間中、その車両を運行していれば得られたであろう利益が損害として認められます。
なお、代車使用料が認められる場合、休車損は認められないのが通常です。
登録手続関係費
車両を買い替える場合、それに伴い各種費用が必要になります。これも損害として請求できます。登録費用、車庫証明費用、納車費用、廃車費用、ディーラーへの報酬、自動取得税等損害として認められるものがあります。
雑費
事故車の保管料、交通事故証明交付手数料、レッカー代等。車両の損害により生じると考えられる損害は種々あります。
2 車両の損傷から生じる損害以外
事故により、車両に積載していた貨物が損傷した場合、家屋や店舗に車が飛び込んだ場合などには、修理費、修理不能な場合はその時価、店舗が営業不能になったときはその営業損害等が認められます。
物損は人損に比べてその請求額も小さいものですが、以上のとおり塵も積もればという具合に、その損害額は無視できません。請求できない事態を生じないように、「交通事故に遭わなければ負担するはずがなかった」と思われる費用を支出したときは、領収証等金額が分かる資料を必ず保管しておきましょう。
物損事故の解決を弁護士に依頼するメリット
賠償項目を漏らさず請求できる
交通事故による物損を受けた場合、相手方に賠償請求できる項目は多岐にわたります。
自分の乗っていた車両の修理費用が請求できるのはもちろんですが、この他にも、レッカー費用、レンタカー費用、評価損(格落ち)などが請求できることがあります。
また、交通事故により自分の乗っていた車両が全損となった場合は、事故直前の車両の時価額が賠償され、その他に廃車費用や新車を購入した際の諸費用も賠償の対象となります。
さらに、交通事故を被った場合、請求できるのは車に関する損害に限りません。携帯電話、時計などの携行品や着衣なども賠償の対象となります。
このように、交通事故に関して請求できる物損の項目はとても多く、一般の方では本来であれば賠償してもらえる賠償項目を漏らしてしまう可能性があります。 賠償項目を漏らさずに請求ができる、という点が物損事故の解決を弁護士に依頼するメリットです。
被害者自身の保険をうまく利用できる
交通事故によって物損被害を受けた場合、相手方や相手方保険会社に損害賠償をすることもできますが、被害者自身の保険が使える場合もあります。特にレッカー費用やレンタカー費用については、利用できる保険に加入していた場合、その保険を使うメリットが大きいです。
その他、車両保険に入っていた場合には、車両保険を使うべきか否か、また、使うとしてどのタイミングで使うかという判断を適切に行うことができます。
このように被害者自身の物損に関する保険をうまく利用できる、という点が物損事故の解決を弁護士に依頼するメリットです。
過失割合を有利に変更させられる可能性がある。
交差点で発生した事故は、当事者双方に過失があるものとされ、事故の過失割合が問題となることがよくあります。相手方保険会社は「過去の同様の事例では〇:〇」です、と簡単に言っていることが よくありますが、弁護士が検討すると、それを有利に変えられることがあります。
弁護士は、調査会社と協力して事故状況の分析をより詳しく行ったり、捜査機関から刑事記録を取り寄せたりすることができます。
また、交通事故を専門的に取り扱う弁護士は、当事車両の損傷状況から本件事故がどのような態様で発生したのかを自動車工学の観点から分析することが可能です。
このように、事故の過失割合を有利に変えられることがある点が物損事故の解決を弁護士に依頼するメリットです。
交通事故問題の解決事例集
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